電動鼻吸い器と手動式鼻吸い器の違いは?それぞれのメリット・デメリットも紹介!

大人は鼻が詰まったら自分で鼻をかむことができます。ですが子どもの場合は個人差こそあるものの、2〜3歳にならないと自力で鼻をかむことができません。

そこで家庭で子どもの鼻水ケアをするために必要になるのが、鼻水を吸い取ってくれる「鼻吸い器」です。大人が使う機会はありませんが、実際に子育てを体験してみると意外と出番が多く、「使ってよかった」と語る子育て経験者が多い育児グッズのひとつとなります。

鼻吸い器にはいくつかの種類があります。そこで今回は鼻吸い器の種類やそれぞれのメリット、デメリットを紹介します。

目次

電動鼻吸い器と手動式鼻吸い器の違いは?それぞれのメリット・デメリットも紹介!
鼻水の正体は鼻粘膜から出される粘液
 鼻水を放置すると?
 鼻吸い器はご家庭でのケアに便利なアイテム
電動式鼻吸い器と手動式鼻吸い器の違いは?
 電動式鼻吸い器(ハンディタイプ)の特徴
 電動式鼻吸い器(据え置きタイプ)の特徴
 手動式鼻吸い器の特徴
我が家の事情にあった製品を選ぼう

鼻水の正体は鼻粘膜から出される粘液

鼻の穴から取り込まれた空気は、鼻腔の中を通って肺などに送り込まれます。その時に余分なホコリやウイルスなどをできるだけ体内に取り込まないように、鼻粘膜から粘液が分泌されて体の外に排出します。鼻水の正体は、この粘液です。

乳児の場合、大人と比較すると鼻腔の中が大人よりも狭くて構造も未熟です。そのためホコリやウイルスを吸い込みやすく、それに伴ってそれらを体外に排出しようと鼻粘膜からの粘液が活発に分泌されます。そのため子どもは、どうしても大人よりも鼻水が出やすいのです。

鼻水を放置すると?

鼻水が出た場合、多くの方は鼻をかんで対処します。ですが、自力で鼻がかめない子どもの場合はそれができません。すると子どもは、無意識に鼻をすすって、本来外に出すはずの物を体内に取り込んでしまう場合があります。しかし鼻水にはウイルスなどが付着しているため、体内に取り込んでしまうと実は思わぬ病気を引き起こす危険があります。

その代表的な疾患が「中耳炎(ちゅうじえん)」です。鼻をすすると、その瞬間中耳内の圧力が下がります。すると圧力が蓋の機能をして侵入を防いでいた鼻水が耳管の中に入りこみ、それが中耳に至ります。

鼻水が中耳に入ってしまうと、鼻水の中に含まれるウイルスなどにより炎症を引き起こします。これが「急性中耳炎」で、急性中耳炎になると耳の痛み、高熱、耳の聞こえが悪くなる、耳だれ(耳から分泌物が出ている状態)といった症状が出ます。

そして急性中耳炎後に粘膜からしみ出た滲出液により中耳に水がたまると、「浸出性中耳炎」を発症するリスクも高まります。さらにこの浸出性中耳炎が原因となり、鼓膜がへこんで中耳の壁に癒着が生じる「癒着性中耳炎」や、鼓膜のへこみに耳垢などが溜まり、骨を溶かして内耳や神経を破壊してしまう「真珠腫性中耳炎」などを発症すると、治療のために手術を要するケースも出てきます。

中耳炎以外にも、鼻水が鼻腔の中の骨に囲まれた空洞(副鼻腔)に入って炎症を起こし、頭痛や発熱、匂いがわかりづらくなるといった症状が出る「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」や、副鼻腔炎になることで出る細菌を含んだ鼻水が喉に入って炎症を起こす「後鼻漏(こうびろう)」といった疾患の原因にもなります。

鼻吸い器はご家庭でのケアに便利なアイテム

放置を避けたい鼻水ですが、前述のように乳児は自力で鼻をかむことができません。では家庭で乳児の鼻水のケアをするためには、どのようにすればいいのでしょうか?

今のように便利な育児グッズがなかった時代には、保護者が乳児の鼻から鼻水を吸い出すこともありました。しかしこの方法の場合、すぐに吐き出したとしても鼻水に付着した細菌やウイルスから病気が感染するリスクがゼロではありません。

そこで現在一般的となっている子どもの鼻水の家庭でのケア方法が、「鼻吸い器」をはじめとするグッズを使う方法です。

関連ページ:鼻水吸引器を使うなら知っておきたい乳児の鼻水の基礎知識

電動式鼻吸い器と手動式鼻吸い器の違いは?

鼻吸い器とは、鼻水を吸引することに特化した製品で、現在は「鼻水吸引器」の呼び名が一般的です。ほとんどの製品は生後0か月から使用でき、子どもが自力で鼻がかめるようになったらそのタイミングで卒業します。

鼻水吸引器には、大きく分けて「電動式」と「手動式」の2つのタイプがあり、さらに電動式にはその中でハンディタイプと据え置きタイプがあります。

詳しい特徴は以下でご紹介しますが、手動式の場合は、比較的新生児に適している傾向にあります。一方、頻繁に鼻水が出る、ある程度成長して鼻水を吸おうとすると暴れてしまうといった場合には、素早く吸引できる電動式がより適しています。さらに電動式のうちハンディタイプは持ち運びに便利、据え置きタイプは吸引力の高さに優れる製品が多いです。

電動式鼻吸い器(ハンディタイプ)の特徴

電動式とは、電力を動力にして鼻水を吸う鼻吸い器です。この中で、小型で持ち歩きやすいのがハンディタイプで、充電式や電池を入れて使うタイプがあります。

製品により違いがありますが、基本的には片手で持てる縦長の形で、吸引した鼻水を貯めるボトルと、赤ちゃんの鼻に入れて鼻水を吸引するためのノーズピース(鼻水を吸引するノズルの先端)が内蔵されています。

使い方は簡単で、ノーズピースを子どもの鼻に入れ、電源を入れるだけで自動的に吸い上げてくれます。

メリットは手動式に比べて吸引力が強めな点や、コンパクトサイズでコードレスタイプの製品がほとんどなので、家の中でも外出先でも、場所を問わず使用できる点です。さらに機能がシンプルなので製品の構造も比較的単純で、分解して洗浄、消毒する部品が少ないので、お手入れが簡単な点が挙げられます。

一方、デメリットとしては、同じ電動式でも、据え置きタイプと比較すると吸引力が落ちる点や、機能がシンプルなので吸引力の調整ができない点が挙げられます。

手動式を使っていたけれどもっと手軽に鼻水の吸引をしたいから電動式に切り替えてみたい、よく鼻水を出すので外出先でも使いたいといった場合に適しています。

電動式鼻吸い器(据え置きタイプ)の特徴

ハンディタイプと同じく電力を動力にして使用する鼻水吸引器ですが、サイズが大きく、コンセントに差して使用するタイプがほとんどです。

製品により構造は異なりますが、基本的な構造は吸引部分とそこにつながる鼻水を溜めるためのフラスコ、そしてその後ろに機械本体があります。ハンディタイプと異なり、この機械の本体部分にダイヤルがあり、吸引力を数段階に調整することができる製品もあります。

使い方はハンディタイプと同様で、ノーズピースを子どもの鼻に入れ、電源を入れて鼻水を吸い取ります。

メリットは、動力が強いのでその分吸引力が強い点で、粘度が高い鼻水でも手軽に吸い取れます。さらに吸引力が調整できるタイプの場合、初心者でも安心して使えます。

デメリットとしては、多機能な分値段が高い点、本体のサイズが大きく、電源コンセントがないと使えないので気軽に持ち運びができない点、パーツが多いので分解しての洗浄、消毒にやや手間がかかる点、さらには吸引力が高い分モーター音がする場合があり、子どもが驚いて泣き出してしまうことがある点などが挙げられます。

粘度が高い鼻水を出しやすい、よく鼻水を出すため家でこまめに鼻水を吸引する頻度が高い、中耳炎の経験があるので、家でしっかりと鼻水のケアをしたいといったケースに適しています。

手動式鼻吸い器の特徴

手動タイプは、電池や電力を使わずに鼻水を吸引するタイプの製品です。製品により吸い上げ方に違いがあり、ノーズピースを入れて、その下についている空気袋を押して鼻水を吸い上げるスポイト式、ノズルの先端にノーズピースがあり、ノズルを通して保護者が吸い上げる吸引タイプなどがあります。

口で吸い上げるタイプの場合、力加減をつけるのが容易なので、デリケートな新生児に適しています。なお、吸い上げるタイプの製品では、あまり力を入れて吸い込むと、鼻水が口の中に入ってしまう場合があります。そのため購入する際には、逆流防止構造になっているかチェックしてください。

一方スポイト式の場合は、コンパクトサイズなので外出先で使用するのに適しています。

手動式のメリットとしては単純な構造なので洗浄、消毒がしやすい点、サイズがコンパクトで持ち運びに便利な点、動力がない場所でも使え、充電切れの心配がない点、そして価格が安い点や音を立てずに使用できるので子どもが怖がらない点などが挙げられます。

デメリットとしてはどうしても吸引力が弱く、粘性の高い鼻水などは吸い上げにくい点などがあります。 そこで最近は、手動式でありながら吸引力が強い「真空ポンプ式」が海外から登場し、日本でも注目を集めています。例えば、真空ポンプ式の知母時(ちぼじ)の場合、手動式のメリットに加え、真空構造で吸引力が強く、粘性の鼻水も吸い上げられ、鼻腔に先端が入らないため鼻の粘膜を傷つける心配がないといったメリットが挙げられます。

我が家の事情にあった製品を選ぼう

鼻吸い器は電動式と手動式で大きな違いがあり、それぞれメリット、デメリットがあります。そのため実際に製品を選ぶ際には、子どもの年齢やタイプ、どういった場面で使うことが多いのかなどを考慮して、状況にあった製品を選ぶのがポイントです。

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